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資産運用ニュース |
2025.04.18 |
小川竜一 R-TRUST investors Inc. |
金(GOLD)は、長い歴史の中で価値を維持し続けてきた唯一無二の資産です。特に2000年代以降、金価格は驚異的な成長を遂げ、2025年には史上最高値を更新するなど、投資対象としての魅力が再認識されています。ここでは、金の長期的な価格推移を振り返り、その背景にある要因を分析し、今後の展望を探っていきましょう。
金の価格は1970年代以降、世界経済の動向や金融政策に大きく影響を受けながら成長を続けてきました。特に2000年以降の上昇は顕著で、複数の要因がその背景にあります。
1971年、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は、金とドルの兌換(たかん)を停止する「ニクソン・ショック」を発表しました。これにより、米ドルは金本位制から完全に切り離され、法定通貨(フィアット通貨)としての性質を持つことになります。
この決定を受けて、投資家はドルの価値低下を懸念し、安全資産である金に殺到しました。その結果、金価格は1971年の1オンス(約31.1g)=約35ドルから、1980年には850ドルに急騰。これは、米国のインフレーション率の上昇(1970年代のスタグフレーション)や、イラン革命による地政学的リスクの高まりが影響を与えたものでした。
1980年のピークを迎えた後、金価格は徐々に下落し、2000年には1オンス(約31.1g)=250ドル付近まで低迷します。この20年間は、以下の要因が金価格の下落を招いたと考えられます。
1980年代、米国の中央銀行(FRB)はインフレ抑制のために金利を大幅に引き上げました。これにより、金のような無利息資産よりも、債券などの金利収入を得られる投資の魅力が増したのです。
1990年代、多くの国の中央銀行が金の保有を減らし、売却を進めました。特に1999年に「ワシントン合意(Central Bank Gold Agreement: CBGA)」が結ばれ、ヨーロッパ各国の中央銀行が計画的に金を市場に放出したことで、金価格の低迷が続きました。
1990年代は、米国を中心に株式市場が大きく成長した時期でもあり、金の需要は低迷しました。
金GOLDの力強いパフォーマンス
【2020年~】
2000年以降、金価格は再び上昇を始め、2011年には1オンス(約31.1g)=1,900ドル超に達しました。この急騰には以下の要因が影響しています。
2000年代初頭から、FRBをはじめとする各国の中央銀行は低金利政策を実施し、金融市場に大量の資金を供給しました。これにより、法定通貨の価値が相対的に低下し、インフレ懸念から金が再評価されるようになりました。
2008年に発生した世界金融危機は、投資家のリスク回避意識を高め、金の安全資産としての価値が改めて認識されました。この時期、多くの資産が暴落する中で金価格は大きく上昇しました。
中国やインドを中心に、中間層の経済力が向上し、ジュエリーや投資用としての金の需要が大幅に増加しました。
2011年の最高値を記録した後、金価格は調整局面に入りました。2015年には1オンス(約31.1g)=1,050ドル付近まで下落します。これは、以下の要因によるものです。
2013年以降、米国経済が回復し、FRBは量的緩和(QE)の縮小を発表。これにより、米ドルの価値が上昇し、金価格は一時的に低迷しました。
金価格が高騰した2011年には、多くの投資家が金ETFを購入しました。しかし、価格が下落し始めると、機関投資家の間で売却が進み、金市場に売り圧力がかかりました。
2019年以降、金価格は再び急上昇し、2024年には史上最高値の1オンス(約31.1g)=2,800ドル超を記録しました。この上昇の要因は以下の通りです。
2020年、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国が大規模な金融緩和を実施しました。これにより、金は「通貨の価値下落に対するヘッジ資産」としての役割を再び強めました。
2021年以降、米国をはじめとする各国でインフレ率が急上昇。金はインフレヘッジ資産として再評価され、価格が上昇しました。
ウクライナ侵攻や米中対立など、国際情勢の不安定化が金需要を押し上げる要因となっています。
2024年2月1オンス(約31.1g)=2,300ドル付近の段階で、世界の金融アナリストたちの多くが2030年までの金価格が2倍(予測中央値4,821ドル)になるのでは?と予測していました。中には2030年で1オンス(約31.1g)=3,000ドルに達するのではないかと予測した金融アナリストも15%いらっしゃったようですが、すでに2025年3月の段階で最高値1オンス(約31.1g)=2,950ドルとなり2025年中に節目の3,000ドルを突破目前となっています。
金GOLDの力強いパフォーマンス
【直近1年 / 2024年3月1日~2025年2月14日】
また直近1年だけを見てみても、金は45%プラスのパフォーマンスをあげています。このような力強いパフォーマンスを出している金は、今後の世界情勢の変化・不安定要因・希少性を考えると、2030年までに3倍、2040年までに5倍になるという予測も成り立ちます。
このように長期的な価格推移を見ると、金は短期的な調整局面を経ながらも、着実に価値を高めてきました。歴史が示すように、金は「価値を保つ資産」であり、「リスクヘッジの最適解」として機能し続けています。そのため、今後の市場環境においても金の重要性がさらに高まると予想され、全世界のエリート投資家達が注目しているのです。